目に視えない私と目が見えない彼
深呼吸をして、決意を固めた。来衣先輩との間に起きた出来事を包み隠さず話した。
説明がへたくそな私の話を「うん、うん」と相槌を打って聞いてくれた。
今の現状をすべて話し終えると「・・・そう」と静かに言った。その後の反応が怖くて俯く顔を上げれない。恐怖を拭うように、ぎゅっと手を握った。
「・・・・・・その子は、霊感があるのかしら?」
「霊感?」
怒られると思っていたけど、聞こえてきたのは、楓さんの優しい声だった。
驚いてぱっと顔を上げた。
「霊感がある人は私たちのことが、ぼや〜とホワホワした光みたいに見えるって聞いたことがあるわ。その子は目が見えないから、実際に未蘭ちゃんの気配だけを感じてるのかもね」
楓さんの話に妙に納得する部分があった。
『お前は光』『色がついて見える』来衣先輩が言っていた言葉と繋がってくる。
「心配なの?」
「へっ?」
楓さんは柔らかい笑みを浮かべていて、その表情を見たら嘘はつきたくない。
決意と一緒に、ごくんと唾を飲み込んだ。
「は、はい」
「確認するけど、その感情の正体は自分でわかってるの?」
「・・・・・・感情の正体?」
「あら、わかってないのね。んー、・・・・私からは教えないわよ」
「え、えっと?」
楓さんの言葉の意味がわからなくて戸惑うことしかできなかった。
「ふふっ、任務が終わるまでに、その気持ちの正体がわかるといいわね」
「来衣先輩と、友達でいていいんですか?」
「・・・・・・だめよ」
楓さんの言葉に、ずきっ、と突き刺さるように胸が痛かった。
だめ、だめなのかあ。
ダメなのはわかってて覚悟していたつもりなのに、とてもショックを受けて、悲しい気持ちが込み上げてきた。