目に視えない私と目が見えない彼


「誰かを好きになるのは、苦しいこともあるのよ。その恋が難しかったりすればするほどね。今、頭に浮かんでるでしょ?頭の片隅にいるってことは、普通以上の感情があるからじゃないかしら」

「で、でも…」

「だって、柊のこと頭の片隅にでもいる?」

「・・・・・・まったく、全くいないですね」

「おい」

私の言葉の後に柊のツッコミがすかさず入る。
ほんとうだ、柊のことは頭に浮かんできたりしないのに、来衣先輩はいつも頭の中にいる気がする。

なにをしてても考えてしまう。
———これが好きっていうこと?

私は、来衣先輩のことが、すき、?

好きだと自覚すると同時に胸がぎゅっと締め付けられるように痛かった。
この痛みも……好きだから、なのかな。
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