目に視えない私と目が見えない彼
来衣先輩が近づいてくるにつれて、焦りと不安で私の胸がざわつく。どうしたらいいのかわからなくてその場に立ち尽くした。
でも、このままじゃだめだ。
来衣先輩に私が死んでることがばれてしまう。
……違う、その方がいいのかもしれない。
そしたら、今まで私と話したことは夢か幻かと思うだろう。
こんな伝え方でいいのかな。
———やっぱり、自分の言葉で伝えたい。
私は走って来衣先輩に歩み寄った。「あ、」来衣先輩が私に気付いたと同時に彼の腕を引っ張って連れ出した。
周りの生徒に私の姿は視えていないので、腕を引っ張られてバランスを崩しながら歩く来衣先輩の姿に、不思議そうな視線を向けていた。