目に視えない私と目が見えない彼

少し離れた場所まで歩くと、キョロキョロと辺りを見渡した。・・・・・・誰もいない。

「来衣先輩!なにやってるんですか?」

「今日、俺のこと避けてただろ?」

避けてることがバレてた。上手に会わないように回避してると思ってたのに。

「・・・・・・避けてるってことは、私は会いたくない・・・・・ってことです」

「俺が目が見えないから?」

「…っ!」

そんなはずない!目が見えないとか関係ない!
来衣先輩はなにも悪くないの。
お願いだからそんな顔しないで。

来衣先輩の瞳は揺れているように見えた。突き放そうとしたのに、胸が苦しくて言葉が出ない。

「わ、私は、私は・・・・・・」

来衣先輩のことが好きです。
でも幽霊なので、だめなんです。

そう言えたらどんなにいいだろう。
『私たちのを存在は人に知られてはいけない』
守護霊代行のルールが邪魔をする。

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