目に視えない私と目が見えない彼
「お兄ちゃん、死ぬってこと?」

「・・・・・・その危険があるから守らせてもらえないかな?来衣先輩を助けたいんだ」

言ってしまったからには仕方ない。後からルール違反の罰はなんでも受けよう。

「幽霊の言うことなんて信じられないわよ」

「そ、そうだよね。私の名前は早川未蘭。桜ヶ丘高校に通ってて、少し前に事故で死んじゃったの。事故っていうか、あれは不可抗力なような…」

「…早川、未蘭?お姉さんさ、誰かを助けて死んだ?」

「ああ、う、うん。小学低学年くらいの女の子かな。まあ、今思えば私がいきなり声かけちゃったのも悪いのかな」

「……私の部屋にきて」

「え、い、いいの?」

「…お姉さんが助けた子、私の友達なの」

「ええ、本当?その子は怪我とかなかった?元気にしてる?」

「バッカじゃない?自分死んだのに、人の心配なんてしてさ」

どこかで聞いたことのあるようなセリフに、心がグサッと痛かった。
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