目に視えない私と目が見えない彼

再び




「お兄ちゃん、足元に気を付けてよ?」

しばらく待っていると、杏子ちゃんと来衣先輩が玄関から一緒に出てきた。
お兄ちゃんを気遣っている杏子ちゃんはしっかりしていて、とても小学生には見えない。

「あ、」
「な、んで……こんなところに未蘭がいるの?」

私のことが視える二人は同時に私に気付いた。来衣先輩は顔を歪ませながら口を開いた。

その表情に胸の奥がちくりと痛かった。
こんな表情をさせてしまったのは私のせいだ。

昨日はあんな別れ方をしたのに、自分からのこのこ現たりして…来衣先輩からしたら、わけわからないよね。そう思うとさらに心が痛んだ。
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