目に視えない私と目が見えない彼
「実は数日前から未蘭さんの話聞いてたの。
覇気がなかったのに、いきなり元気になったから何かあったの?って聞いたら『灯りがついてる子に出会った』ってすごく嬉しそうにね」

それって私のこと??

「灯りがついてるように見えるって聞いた時点で、それ幽霊じゃない?って思ったんだけど。嬉しそうに話すお兄ちゃんの顔見たら、言えなかったのよ。昔のように・・・目が見えた頃みたいに、心から笑ってる笑顔だったから」

「・・・・・・そっか」

「だから、杏子は未蘭さんに協力する!
杏子さ目が見えなくても、お兄ちゃんが大好きなんだ。いなくなったら困るもん」

そう言い残して、体よりも大きめなランドセルを背負い小走りで小学校へと向かっていった。

杏子ちゃんがいてくれてよかった。

昨日『もう、会えません』自分から言ったはずなのに、来衣先輩と会えて嬉しいと思ってしまう自分がいた。本当、どうしようもない。

ただ、今の私には好きな人のためにできることがある。
来衣先輩を”死”から守ること。

好きな人を絶対死なせたくない。と心に誓った。
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