目に視えない私と目が見えない彼
この日は来衣先輩に見つからない場所に隠れながら、見守りを続けた。
「危ない!机の角にあたりそう!」
「危ない!白杖を使うのにゴミが散乱している」
「危ない!前から歩いてくる人、話に夢中で来衣先輩のことが見えてない」
目の見えない来衣先輩は常に危険と隣り合わせだった。
目が見えるのが当たり前だったけど、見えない世界で、見える人と同じ生活をするのがどんなに大変か、来衣先輩を見ていると重々と感じる。
来衣先輩の視界に入らないように、後ろから手助けをして、次の瞬間には瞬時にその場から逃げた。
数えきれない危険を超えて放課後の時間を迎えた。