目に視えない私と目が見えない彼
50代くらいに見えるショートカットで小柄な女性だった。彼女はスーツを着ていて、身なりがきちんとしていた。


女性の威圧感にたじろいでいると「この人が上司だよ」と横にいる柊がコソコソと小声で教えてくれた。

この人が、上司。

表情は険しく、眉間に皺が寄っていて第一印象は怖いと思った。


「・・・・・・はい」

「あらあら、まだ子供じゃないの!!死因は病死?まさか・・・・・・自分で?」

「えっと、事故死です」

「あらあら、大変だったのね・・・・・・」


話し出すと最初の怖いという印象が崩れ去った。感情豊かに話すので、本当に私を気にかけてくれているのが伝わってきて、心地よい。



「楓さん、この子は未蘭。車に轢かれそうな少女を庇って死んじゃったんだよ」


この状況に圧倒されて、固まっている私の代わりに柊が説明をしてくれた。


「良い子じゃないの・・・・・・」


目を真っ赤に染めて目頭を押さえている。
うん、楓さんは良い人そうだ。
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