目に視えない私と目が見えない彼




来衣先輩の家までの帰り道をゆっくりと歩いた。昨日の話はどちらからも触れずに、なにごともなかったかのように、楽しい話をして歩いた。


「・・・・・・お、お邪魔します」

昨日は忍び込んだようなものなので、改めてお家に上がらせてもらった。白とベージュを基調としたリビングは暖かみを感じて居心地がよかった。


「お兄ちゃん、未蘭さん、お帰りなさい」

「杏子ちゃん!」

杏子ちゃんの顔をみると安心感を感じた。唯一、私が幽霊だと知っているので彼女の存在は心強かった。

「未蘭さん!杏子のお部屋に行こう?」

「・・・・え?!あ、うん」

「お兄ちゃんはリビングで待っててね。ガールズトークしてくるから」

「はあ?さっそくかよ。未蘭、杏子に付き合わせて悪いな」

少し拗ねたような顔をした。その表情が可愛くて胸の奥が疼く。
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