目に視えない私と目が見えない彼
「昨日さ、お兄ちゃんと未蘭さん、なにかあったでしょ?」
「うっ、うん」
「それが原因ってことはない?」
「……それは私もちょっと考えてた」
「だいたい察しつくけどさ、お兄ちゃんのこと振ったり、拒絶したりした?」
なんで小学生なのにそんなことまでわかるんだろう?私は申し訳なさで、わかりやすく顔が歪んでいく。
「だって、昨日のお兄ちゃん、病気が発覚した時くらい落ち込んで出てさ。数日前までは昔のお兄ちゃんみたいに明るくて機嫌よかったのに」
数日前?それって、私と出会ったから、かな。
自意識過剰にそんなことを思った。
「はあ、お兄ちゃんが明るくなったり、落ち込んだりするのって、未蘭さんのせいってことだよね」
「ご、ごめんなさい」
「いや、攻めてるわけじゃないのよ?お兄ちゃんが悪いんだもん。あんなに女のことでメンタルが左右される男だとは思わなっくて、がっかりよ」
深いため息を吐いた。杏子ちゃんと喋っていると、どちらが年上なのかわからなくなってくる。