目に視えない私と目が見えない彼
「守護霊代行の話は、だいたい柊から聞いた?」

「はい。・・・・・・少しは理解できたと思います」

「一応形式的に聞くことになってるんだけど、守護霊代行の任務、やる?やらない?」

「・・・・・・あの!一つ聞いてもいいですか?」

「もちろん」

「自分に生まれ変われたりって・・・・・・、死んだことを無かったことにできたりしないんですか?」

私の質問を聞くと、怪訝そうな顔をして悩んでいるようだった。

・・・私、まずいこと聞いちゃったのかな。

「・・・・・・その前例はないわね。前例はないというか、希望する人がいないのよ」

「みんな、生まれ変わることを希望するってことですか?」

「そう。みんな最初は、未練があって生き返りたいって言う人もいるんだけどね・・・・・・」

「・・・・・・」

「勝ち組の人生が約束されたようなものだから、最終的には生まれ変わることを選ぶのよ」

「そ、うなんですか。でも、私はお母さんやお父さんに会いたいし・・・・・・」

「今のところ、死んだ事をなかったことにできます。とは断言できないわね。前例がないから。 最終日にもう一度どうしたいか、聞くからその時までよく考えておいて」

「わかりました」

「・・・・・・どうする?やる?やらない」

「・・・・や、やります!」


悩む時間もなかったけど、死んでしまって未来もない、今の私にやらない選択肢はなかった。
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