目に視えない私と目が見えない彼
———数時間前
「・・・・・・おはよう」
体の半分はまだ眠っているように重く、眠気の残った声で挨拶をする。
「未蘭!またギリギリに起きてきて!早くご飯食べないと遅刻するわよ」
「はーい」
朝からお母さんの甲高い声は頭に響く。テーブルに目を向けると、いつもの茶碗にご飯が盛られて、目玉焼きとウィンナー2本。いつもと変わらないメニューだった。
「・・・・・・朝ごはんいらなーい」
「またそうやって。朝ごはん食べないと1日の元気が・・・・・・って、聞いてる?未蘭!」
朝からお母さんの小言なんて聞きたくなくて、話を最後まで聞かずに、リビングを出て洗面所へと向かう。
洗面所で歯磨きをしていると、リビングから「まったく、あの子は・・・・・・」と、お母さんの小言が聞こえてきた。
はい、はい。
朝から小言は聞きたくないから、説教なら帰ってからいくらでも聞きますよ。
声に出すと喧嘩が始まるので、心の中で返事をした。