目に視えない私と目が見えない彼
「3つで。お願いします」

「…かしこまりました」

来衣先輩はゆっくりと淡々と告げたので店員さんもそれ以上不審がることはなかった。

「映画、面白かったな」

「未蘭さん他に見たい映画あった?あの映画さ、杏子が前から観たいって言ってた映画なんだ」

「そうだったんだ。ううん、有名なアニメだし興味あったよ!すごくおもしろかった」


映画を見た感想を話す。普通の人からすれば何の変哲もない会話に聞こえるけれど、私にとっては愛おしくて、かけがえのない時間だった。


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