目に視えない私と目が見えない彼
「…力説してもらって悪いけど、全く話が見えないんだけど?」

「え、だって、死にたいんじゃ?」

「いつ死にたいなんて言ったよ。そりゃ、病気が発覚した時とか、夜に全く見えなくなった時は、考えたこともあったけど。未蘭に出会ってから、前向きになれたんだ。完全に失明したって、堂々と生きてやるけど?」

「……よ、よかったあ」

安心して体の力が抜けた。安心すると同時に不安要素が残る。
……自殺じゃないなら、死亡予定者リストに載ってるのには、他の理由があるっていうこと?

「あの、理由は言えないんですけど、あと一日。24時間常に一緒にいていいですか?」

「つ、常に?…お、おう…」

死亡予定者リストに載ってる理由がわからなくなった。来衣先輩は自殺じゃなければ、事故か、他殺?!いや、いや、そんな物騒なこと考えたくない。

ずっと隠していた自分が幽霊だと告げられたことで、つかえが取れたように心が軽くなった。ただ、来衣先輩の守護霊代行をしている理由を忘れてはいけない。…これから、ひと時も離れずに見守ろう。
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