目に視えない私と目が見えない彼
最上家に帰宅すると、不安で今にも泣き出しそうな杏子ちゃんが待っていてくれた。

「よかったあ。なんかっ、いろいろ心配しちゃって・・・・・・。未蘭さんに真実を告げられたお兄ちゃんが、良くないことを考えちゃうかも…って」

「杏子ちゃん、来衣先輩の原因は自殺じゃなかったの。他の原因があるなら、私が絶対に阻止するからね」

「・・・・・・なんか、未蘭さん、強くなったね」

「来衣先輩は幽霊の私でも受け入れてくれた。そんな彼を絶対に守りたいんだ」

「・・・・・・未蘭さん、ありがとう」

杏子ちゃんは、ぼろぼろと溢れる大粒の涙と共に泣きじゃくった。大人びて話す杏子ちゃんも、たくさん我慢していたんだと胸が痛んだ。

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