目に視えない私と目が見えない彼
第七章
本当のデート
カーテンから朝日が差し込み、ほんのりと明るくなった。幽霊で睡眠の欲求がない私は眠っている来衣先輩の顔を見つめていた。
彫刻のように綺麗な顔で眠る来衣先輩。朝起きたら好きな人の寝顔が見られる。私が生きていたら、こんな幸せを送れたのだろうか。
そんな妄想をしたところで、なんの意味もないことはわかってる。
なのに、どうしてあるはずのない未来を考えてしまうんだろう。
また涙が込み上げてきた。
悲しい。辛い。生きたい。好き。
自分の"死"を受け入れていたはずなのに、来衣先輩との幸せな記憶が、生きたいという気持ちを呼び起こす。
様々な感情が入り乱れて忙しい。涙が止まらなくて声を押し殺して泣いていた。
「……未蘭?」
瞼を薄らと開けると、寝起きでかすれた声で私の名前を呼んだ。そして私の顔めがけて手を伸ばす。
「あ、れ、」
…彼の大きい手は私に触れることなく、通り抜ける。
そう、これが現実。私は幽霊なのだから。
守護霊代行のルールで、私たちから触れるものには触れる。けれど、人から私たちには触れられない。
来衣先輩から私に触れることはできないのだ。
彫刻のように綺麗な顔で眠る来衣先輩。朝起きたら好きな人の寝顔が見られる。私が生きていたら、こんな幸せを送れたのだろうか。
そんな妄想をしたところで、なんの意味もないことはわかってる。
なのに、どうしてあるはずのない未来を考えてしまうんだろう。
また涙が込み上げてきた。
悲しい。辛い。生きたい。好き。
自分の"死"を受け入れていたはずなのに、来衣先輩との幸せな記憶が、生きたいという気持ちを呼び起こす。
様々な感情が入り乱れて忙しい。涙が止まらなくて声を押し殺して泣いていた。
「……未蘭?」
瞼を薄らと開けると、寝起きでかすれた声で私の名前を呼んだ。そして私の顔めがけて手を伸ばす。
「あ、れ、」
…彼の大きい手は私に触れることなく、通り抜ける。
そう、これが現実。私は幽霊なのだから。
守護霊代行のルールで、私たちから触れるものには触れる。けれど、人から私たちには触れられない。
来衣先輩から私に触れることはできないのだ。