目に視えない私と目が見えない彼

終わりの時

この時間がずっと続けばいいのに、そう願うこの瞬間にも時間は過ぎていく。


もうすぐ早川未蘭としての時間が終わる。

私の残り時間はカウントダウンを始めた。


伝えたい気持ちはたくさんあるけど、口を開けば我慢している感情が爆発しそうで怖かった。



「映画見たり、デートしたり、オムライス作ったり、幽霊なのに得しちゃいました」

自分を守るために強がりの仮面をつけた。

空笑いをしながら無理やり下手くそに笑うことで、平然を装い続けた。
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