目に視えない私と目が見えない彼
「来衣先輩、もし、早川未蘭に戻れたら…7日間の記憶がなくなった私でも見つけてくれますか?」

「・・・・必ず見つけるよ」

「でも、私の中の来衣先輩への気持ちは消えてるんですよ?」

「もう一度、俺に惚れさせればいいだけの話だろ?」

来衣先輩は消えゆく私に向かって手を伸ばした。透けていく私の体を通り抜ける。

その手に触れようと手を伸ばした。

私からは触れられるはずなのにスッと通り抜けた。「え、」目の前の事実が、もうすぐ私が消えてしまうサインだと感じた。



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