目に視えない私と目が見えない彼
「楓さん、あの!来衣先輩は死亡予定者リストから消えていますか?」

「ええ、消えたわよ」

「よ、よかったあ。私のせいで死んでしまうところでした」

「それは違うわよ。最上来衣くんは、交通事故で死ぬ確率があの日、あの時間に高かった。未蘭ちゃんがいなければ違う場所で事故に遭っていたということ。つまり、未蘭ちゃんが最上来衣くんを助けたっていうこと」

「・・・・・・それなら、よかった」

力なく呟いた。

私でも、人の役に立てた。大好きな人を助けることが出来た。そう思うと不思議と決意も固まった。頬を伝う涙を拭って顔を上げる。


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