目に視えない私と目が見えない彼
「コホン、ここからは形式的になっちゃうけど、早川未蘭さん、無事に任務完了しました。勝ち組の人生を選ぶことができます」

「・・・・・・」

「誰に生まれ変わりますか?今だと、女優と俳優の子供。政治家の子供も選べるわよ?」

「待ってください。私はたくさんのルール違反をしました。だから、追放や処罰を受けるんじゃ…?」

「確かに、こんなにルール違反をする守護霊代行はいなかったわ。でも、こんなに誰かをたくさん助ける守護霊代行もいなかった」

「……」

「こんなに良い子でたくさん助けたのよ?神様だって許してくれるでしょ。ルール違反についてはお咎めなしよ?」

「本当に・・・・・・?ありがとうございます」

「・・・・・・うん、もう一度聞くね。
誰に生まれ変わりたい?」

「わ、私、勝ち組の人生じゃなくて、早川未蘭に戻りたいです!」

「……今なら総理大臣の孫も選べるわよ?あと、人気アイドル夫婦の子供も!容姿端麗、勝ち組確定の人生になるわよ。このタイミングに遭遇するなんて何十年にあるかないかの幸運よ?」

「…私にとっては、早川未蘭の人生がなにより勝ち組なんです」

今の気持ちを精一杯込めて伝えた。その言葉を肯定してくれるかのように、楓さんはゆっくり頷いた。

「そう言うと思ってたの。上層部に許可済みよ」

「えっと?つまり・・・・・・?」

「早川未蘭ちゃんの人生に戻れるってこと」

「ほ、本当ですか?!」

自然と溢れ出た涙はあたたかい。頬を伝うこの涙は嬉し涙だ。
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