目に視えない私と目が見えない彼
第八章
新たな始まり
目を開けると白い世界が広がっていた。
瞳にぼやけて映る白い世界は、時間が経つにつれて薄れていく。
———これは、天井?
私の視界に広がるものは白い天井だった。頭を左右にゆっくり動かすと、飾り付けも何もない白い壁が広がっていた。
深く深呼吸をすると鼻に残るのは独特な匂い。
……ここは、病院??
回らない頭でゆっくり考えた。
なんで、病院のベッドで寝てるんだろう。
全身痛みが強くて動かせない。
そうだ、女の子を助けようと道路に飛び出して・・・・・・
それから……その後の記憶がない。
あれ、思い出したいはずなのに、なにも思い出せない。