目に視えない私と目が見えない彼
「未蘭、急にどうしたの?ありがとう、なんて言ったことないじゃない」

「あ、うん。自分でも分からないけど……伝えたいな、伝えられるときにありがとうって言いたかったんだ」

「くすっ、なんだか入院する前より大人になったように見えるわ。じゃあ、お母さん一人で買い物行ってくるわね」

「うん、あの公園で待ってる」


理由はわからないけど気になって仕方がない公園へと足が向かっていく。
初めてきた公園なのに、来たことがあるような、不思議な感覚になった。


なんだか、見覚えのあるような———。
初めてのはずなのに。

まあ、似たような公園なんてどこにでもあるもんね。


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