目に視えない私と目が見えない彼
「早川さんは、事故で……入院してるんです」

「え!?」

「小学生の女の子を守って、車とぶつかってしまって……」

「い、生きてんの?!」

「……は、はい」

未蘭が生きてる。その事実が嬉しくて、張り詰めていた緊張が解けて、体の力が抜けた。その場にしゃがみこんだ。

「だ、大丈夫ですか!?」

「ははっ、こんなに嬉しいことはない」

自然と顔も緩んでしまう。
やばい、嬉しくて泣きそうだ。人前で泣くなんて出来なくて唇をぎゅっと噛んだ。


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