目に視えない私と目が見えない彼
公園では、ラブソングが流れ始めた。
この歌が流れることで17時になったんだな、と感じる。



「この公園は歌が流れるんかい?珍しいね」

俺の背後から、年配と思われる人の声が聞こえた。誰かに尋ねてるようだった。


「この公園は17時に歌が流れるんですよ」




———聞き覚えのある声がした
忘れるはずのない愛しい人の声だった。


振り返るとかすかに残る視力で、女性のように見える。彼女が笑うと顔のパーツが光って見えた。

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