目に視えない私と目が見えない彼
校舎には走り回る生徒たちもいて、ガヤガヤと賑わいをみせていた。
「・・・・え、凄い勢いで走ってくる人がいる」
目の先にいる男子生徒が猛烈な速さで、私の方に走ってきた。
どうしよう!
こわい、こわい、こわい!
勢いを落とさずに走ってくる男子生徒はすぐ目の前まで来ていた。
———ぶつかるっ!!
怖くて思わず目をぎゅっと瞑った。
「ギャハハ」
少し遠くの方から声が聞こえてくる。
しばらく過ぎても、衝撃も痛みもないので、目をおそるおそる開けた。さっき全速力で走っていた男子生徒は、振り向いた先の方にいる。
全然痛くない。追突されるかと思ったのに、されなかった。な、なんで?
・・・あ、私死んでるんだった。
すっかり幽霊なことを忘れて、ぶつかると思ってヒヤヒヤしてしまった。チラッと柊に視線を向けると「くくっ」と肩を揺らして笑っていた。
「ちょっと、わかってたなら教えてよ」
むくれて、ギっと、精一杯の睨みをぶつけた。
「どうするのかなーって面白くて見てた。あはっ、めっちゃ怖がってたな」
私の睨みなんて気にもしてくれなくて、まだ笑っている。私は精一杯怒りの印に膨れっ面をするしかできなかった。
「俺らは、一応幽霊だから、通り抜けられるんだよ」
「今ので、わかりましたよ」
「・・・・え、凄い勢いで走ってくる人がいる」
目の先にいる男子生徒が猛烈な速さで、私の方に走ってきた。
どうしよう!
こわい、こわい、こわい!
勢いを落とさずに走ってくる男子生徒はすぐ目の前まで来ていた。
———ぶつかるっ!!
怖くて思わず目をぎゅっと瞑った。
「ギャハハ」
少し遠くの方から声が聞こえてくる。
しばらく過ぎても、衝撃も痛みもないので、目をおそるおそる開けた。さっき全速力で走っていた男子生徒は、振り向いた先の方にいる。
全然痛くない。追突されるかと思ったのに、されなかった。な、なんで?
・・・あ、私死んでるんだった。
すっかり幽霊なことを忘れて、ぶつかると思ってヒヤヒヤしてしまった。チラッと柊に視線を向けると「くくっ」と肩を揺らして笑っていた。
「ちょっと、わかってたなら教えてよ」
むくれて、ギっと、精一杯の睨みをぶつけた。
「どうするのかなーって面白くて見てた。あはっ、めっちゃ怖がってたな」
私の睨みなんて気にもしてくれなくて、まだ笑っている。私は精一杯怒りの印に膨れっ面をするしかできなかった。
「俺らは、一応幽霊だから、通り抜けられるんだよ」
「今ので、わかりましたよ」