目に視えない私と目が見えない彼

みんなには、私の姿が視えていないので、追突してくるのはもちろん悪気なんてない。そのつもりもない。


幽霊だからスッと通り抜けられるらしい。

ただ、私が勝手に追突される。と勝手に怯えていただけだった。



その後は、廊下の真ん中を堂々と歩いてみた。

走り回る生徒たちや、談笑しながら歩いている生徒はみんなスッと通り抜けていく。なんとも不思議な感覚だった。


最初は、通り抜けられる時がちょっと怖くて、目を瞑ってしまっていたけど、慣れるって怖い。


数分後には、目を瞑ることなく、スッと通り抜けられることが普通になっていた。


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