目に視えない私と目が見えない彼
この日もいつもと同じ時間、いつもと同じ通学路を通って、学校へと向かう。


少し先に中学校と高等学校があるため、この道は通学路になっていて学生で溢れかえっていた。

道幅が狭く、お喋りに花を咲かせている学生で道を占領するのは日常だ。

雑談の声があちこちから飛び交っていた。

みんな喋りながら歩くため、歩くスピードが遅い。見慣れた背中を見つけて、私は小走りで駆け寄り背中をポンっと叩く。


「おっはよ〜」

「未蘭!おはよぉ」


可愛い声で微笑みかけてくれる彼女は一ノ瀬 寧々(いちのせ ねね)

目がくりっとして大きくて、小柄な彼女は今日も可愛い。同じクラスで1番の親友だった。


談笑しながら歩いていると、少し先に小学校低学年くらいの女の子1人でポツンと立っていた。
瞳いっぱいに涙を溜めて、今にも泣き出しそうな顔をしている。
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