目に視えない私と目が見えない彼

闇の中

誰もいない暗い夜道を、ゆっくりと歩いた。

なんか、変な感じだ。幽霊じゃなかったら、怖くて絶対1人で歩けないもん。

しばらく歩いていると、暗闇の中で一際光を放つコンビニが、ポツンと一軒佇んでいた。


コンビニのドアが開くと鳴る入店音が耳に届く。つい昨日まで聞いてた音のはずなのに、遠い昔のように感じた。


〜♬

コンビニのドアが開くと、入店音と共に、ゆっくり歩いてくる人影が見えた。

身長は高くてしっかりした体つきは、その後ろ姿の人物が男性だと瞬時にわかった。

しばらく見ていると、心の中に現れた違和感の正体がわかった。彼はすごくゆっくりと歩いている。


コツンコツンと、アスファルトを叩くような金属音が一定のリズムで鳴り響く。


この音はなんだろう、
あの彼の方から音が聞こえてくる・・・・・・。


気になって、じっと見つめているとチラリと、白い白杖(はくじょう)が見えた。



あれは白杖?
白杖って視覚に障害のある人が歩行するときに使うものだよね・・・・・・。彼は目が見えないのかな?



なんとなく気になってしまい、コンビニから出てきた彼の後をついて行った。

街灯が点滅していて街の光が小さくなっていく。暗闇に覆われ、光は残された街灯の小さな光だけだった。そんな闇の中に向かって彼はゆっくり進んでいく。
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