目に視えない私と目が見えない彼
「ああ、大丈夫」

彼は私に向かって軽く会釈をしながら、ボソッと呟いた。

え、私に話しかけてる??


「・・・わ、私のこと、視えてるんですか?」

「はあ?」


姿が見えない私に言葉を返されたことに驚いて、思わずまた声を掛けてしまった。

そんな私の問いかけに、怪訝な顔をして不思議そうに首を傾げている。


よく見ると視線は私の方に向けられているけど、視点は私の瞳と合ってない。


彼は私の方を向いて話しているというより、声がする方を向いて話してるだけだ。

もしかして、私が幽霊だとわからずに、話掛けてるってこと?
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