目に視えない私と目が見えない彼
彼の背中を見送る間、私の中でなにかが引っ掛かっていた。

あれ・・・・。なんだろう。頭の中の記憶のカケラが疼くような気がする。


あの綺麗な顔。彼とどこかで会ったような。



「・・・も、最上、来衣先輩?」


今、はっきりと思い出した。
同じ高校の最上来衣先輩だ。


すぐに気付けなかったのには、理由がある。
私の記憶の中にいる来衣先輩は、白杖を使っていない。目もしっかり見えていたはずだ。


なんで、白杖を使ってたの?

最上来衣先輩になにが起きたのか、なんで白状を使っているのかわからなかったんだ。
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