目に視えない私と目が見えない彼
小学生?
キョロキョロと辺りを見回してみたけど、
その子の他に同級生らしい子はいなかった。
道ゆく人は少女に誰も話しかけようとしなかった。迷子ではなく、ただその場にいるだけなのかもしれない。
私は今にも泣き出しそうな少女を、なんだか放っておけず声をかけた。
「どうしたの?迷子になっちゃった?」
出来る限りの優しい声で話しかけたが、女の子は声を掛けられた事に驚いたのか、肩をビクッと震わせて固まってしまった。
瞳には今にも溢れ出てきそうな涙が溜まって、うるうると揺れている。
「大丈夫!大丈夫!お姉さんは怖くないよ?」
泣き出しそうなので、あたふたしながらも、さらに優しい口調で声をかけた。
女の子は返事をせず小さく頭を振った。
・・・・・・迷子じゃないってこと?
うーん、どうしよう。
「寧々〜、この子大丈夫かな?」
私より少し遅れて駆け寄ってきた寧々に意見を求めて視線を離した、次の瞬間。
少女はいきなり走り出した。