目に視えない私と目が見えない彼
心配
学校に近づくと、登校してくる生徒たちで賑やかだった。
昨日も経験したのに、幽霊の姿で通っていた学校にくるのは、なんとも不思議な気分だった。
田口先生は教員用玄関から入る。こっちは初めて覗いたので、知らない場所を知れて少し楽しい気持ちになる。
田口先生は職員室に入っていった。私も後を追いかけようとしたとき、コツ、コツ、と小さい金属音が耳に届いた。
それは、聞き覚えのある音だった。
音のする方に視線を向けると、来衣先輩が白杖を使って、ゆっくりと歩いていた。
昨日のは見間違いじゃなかった。今日も白杖を使ってる。
白杖を使って不慣れに歩くその姿に、目が離せなくなる。
そのぎこちなさに、ハラハラして、見てる方が思わず慌ててしまう。
そう。放っておけないんだ。
近くにいると、彼から目が離せなくなる。