目に視えない私と目が見えない彼
来衣先輩は転んで怪我をした足を引きずりながらも、白杖を使って自分の位置を確かめながら、ゆっくりと歩き出した。
ホッとしたと同時に、さっきの2人組の先輩の行動が目に止まる。
わざと来衣先輩の近くをゆっくり歩きながら、ニヤニヤしている。
「くくっ」
「本当に、見えないんだな」
「『いったっ』だってさ、くくっ」
「天下の王子様も、目が見えないんじゃ、もう終わりだな」
「今までいい気になってたからバチが当たったんじゃね?」
耳を疑う言葉を平気で吐き捨てて、ニヤニヤとそれを楽しんでいるように見えた。そんな彼らに嫌悪感しか抱けない。