目に視えない私と目が見えない彼
「・・・・・・俺のことか?」

聞こえないふりをすると思ったのに、来衣先輩は足を止めて淡々と言いのけた。


「ああ、大人気だった最上も、目が見えなきゃただの人。・・・・・・いや、ただの人以下ってわけだ」


「お前、大河(たいが)だろ・・・・・・。
はあ、ダセェ真似はよせよ」


「・・・・なっ、んでわかった?」

ニヤニヤと酷いことを言った先輩は、来衣先輩の知り合いだったようだ。
名前を当てられて、わかりやすく動揺している。

「・・・・・昼間は少し見えるんだよ」


「じゃ、じゃあ、なんで白杖なんて使ってんだよ。同情を引くためか?」


「お前に言う必要はない」


そう切り捨てると、またゆっくりと歩き出した。

つ、強い・・・・・・。

2人から嫌なこと言われても、全く取り乱すことなく、淡々とした口調で返すので、どっちがあたふたしてるかわからない。
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