目に視えない私と目が見えない彼
「お前、あいつらになにしたんだよ」

「・・・・・・」


すぐ近くで聞こえたその言葉が、誰に投げかけられているのかわからなかった。私は幽霊で、話しかけられる存在ではないからだ。


「・・・・なあ、お前、昨日会ったよな?」

私は幽霊で姿が視えない。話しかけられるはずがないのに、来衣先輩は私がいる方向に向かって言葉を投げかける。

もしかして、私に言ってる?!
辺りを見渡してみたけど、私以外に誰もいない。

今日は声を出していないのに、何故分かったのだろう。


・・・・・本当に私が視えている?


そんなはずはない。私は幽霊で人には視えていない。それに、来衣先輩は目が見えないのに。



そして、またルール違反をする。
< 70 / 256 >

この作品をシェア

pagetop