目に視えない私と目が見えない彼
「あっ、おい・・・・・・」
「どうした?最上、ん?
・・・・・・誰と話してたんだ?」
来衣先輩が言葉を投げたので、田口先生は誰もいない辺りをキョロキョロ見回して、不思議そうに首を傾げている。
「・・・・・・いや、なんでもないです」
少し離れた場所から見守っていると、来衣先輩は私のお願いを聞いてくれたようで、田口先生には秘密にしてくれた。
・・・・良かった。安堵のため息が自然と漏れた。
来衣先輩は、なんで目が見えなくなってしまったんだろう。
何か力になれることはないかな・・・・・。
そんな事を考えていると、柊に言われた事を思い出した。
『守護対象者以外を助けてはダメ』
思いっきりペットボトル投げたことは、きっと、いや、絶対にルール違反だ。
これからはもっと気をつけなきゃ。
来衣先輩にもこれ以上、関わらないようにしないと・・・・・・。
そう、自分に言い聞かせるが、目の前にいる彼を目で追ってしまう。
…なんでだろう?
この時は、この気持ちの正体に気付いてもいなかった。