目に視えない私と目が見えない彼
「・・・・・・先生何言ってんの?
今喋ったのは・・・・・・」


来衣先輩は私のことが視えてるから、声の主は私だと分かっている。
なんで怯えているのかわからない、といった様子で、怖がってる田口先生のことを不審がっている。

ああ。この状況・・・・・・、
もう、どうしたらいいのかわからない!





「あっ、いたいた。田口先生、ちょっといいですか?」


助け舟の声をあげてくれたのは、校長先生だった。少し先の方から手招きで田口先生を呼んでいる。


「最上、ちょっと待っててな」


田口先生は急いで校長先生の元へと向かっていった。

とりあえず、助かった。
本気で危なかった。

校長先生がこなかったらどうなっていたのか。
考えただけで身震いがする。

校長先生のおかげで命拾いした。いつもは朝礼の挨拶とか長くて好きじゃなかったけど…初めて校長先生に感謝した。

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