目に視えない私と目が見えない彼
「来衣先輩が、辞める必要ないと思います」
「・・・・へっ?」
心を読まれたのかと思って、驚いて格好悪いが声が裏返ってしまった。
彼女の言葉は、俺にまとわりついた強がりの鎧を剥がして、心まで浸透した。
目が見えなくなって、今まで群がっていた人たちは消えていった。
「なにか力になれることがあったら言ってね」「これからもずっと変わらず友達だ」上っ面の同情の言葉だけ残して、親しかった人もみんな離れていった。
なんだよ。障害があるだけで、こんなに人が離れていくのかよ。
病気に向き合うだけでも辛かったのに、周りの反応が追い打ちをかけた。
くそっ、負けない。負けたくない。
両親にも、先生にも、友達にも涙は見せなかった。
弱さなんか見せたくなくて、平気なフリをして、とにかく武装をして強がった。
気付いた頃には自分の力では抜け出せないくらい、闇に堕ちていた。
そんな時に現れた光が君だった。
俺を闇から救い出してくれそうな、そんな気がしたんだ。