目に視えない私と目が見えない彼



このまま教室に向かおうと歩いていたけど、君のことが気になる。



名前くらい、聞いてもいいよな。
ここで待ってみるか・・・・・・。
耳を澄まして君の足音を待つことにした。




「来衣先輩、辞めないですよね?」


「おお」

無音の中にいきなり君の声が現れたの驚いて変な声が出てしまった。


目が不自由になってからというもの、耳の神経が研ぎ澄まされたように、前よりも聞こえが良くなった。


君が追いかけてこないかと、足音を待っていたのに、聞こえてきたのは足音よりも先に君の声だったので驚いた。


こいつ、足音聞こえないよな。
足音を消すなんて、忍者か?



「・・・・・・先輩?」


頭の中で考え込んでいると、心配そうな弱々しい声が届いた。表情が見えなくても、君の声色は感情を読み取りやすくて助かる。


「ああ、退学はしない」


「良かったあ・・・・・・」


なんでそんなにお前が喜ぶんだよ。


高らかな声からは喜んでくれているのが伝わってくるようだった。

彼女の口調は波が激しくて、表情が見えなくても、声色から情緒が伝わってくる。

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