目に視えない私と目が見えない彼
・・・・・ 人だ!

誰も居ない真っ白な世界が怖くて仕方なかったので、他の人を見つけて安心した。

状況を聞きたくて小走りで駆け寄る。


「すみません、・・・・・・ここって・・・・・・」

「・・・今きたばかりの人?ここにいるって事は死んでますね」

私が話しかけると、プラカードを持つ男は淡々と答えた。



「この先で、天国行きと地獄行きに選別するので、こちらに並んでください」


あまりにも淡々と話すので、私の感情が追いついてこない。ここで泣き叫ぶのも違う気がしたので、ぎゅっと唇に力を入れて泣くのを我慢した。


誘導されるがまま、行列に並ぶことになった。

行列には、ご老人や若い男性、そしてまだ小さな子供まで。様々な年齢の人が並んでいた。
みんなの顔は俯き表情は暗い。


どうやら、私は死んでしまってここは死後の世界らしい。
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