契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
第一章 辰巳省吾との出会い
ミクはバーで一人飲んでいた。
ほんの一時間前恋人に別れを告げられた。
「誕生日に振られるなんて、どうしてなの」
涙が溢れて止まらなかった。
そこへ一人の男性が入ってきた。
カウンターに座り、ウイスキーを注文した。
ふっと横に目をやると、泣いているミクが視界に入ってきた。
どうしたんだろう。
ミクは相当酔いが回って、椅子から立ち上がると、ふらついて倒れそうになった。
危ない。
その男性はミクの身体を支えた。
「大丈夫?飲み過ぎだな」
そう言ってニッコリ微笑んだ。
ミクはじっとその男性を見つめた。
なんてかっこいいの、目鼻立ちが整って、爽やかな笑顔、スマートな立ち振る舞い。
ミクは急に睡魔に襲われた。
頭、痛い。
朝、目が覚めると、何も身につけていない。
えっ、嘘。
それにここはどこ?
ミクは記憶を辿るが何も思い出せない。
そこに男性が入ってきた。
「おはよう、身体大丈夫?俺もすごく乱れちゃって、相当無理させたからな」
「あのう、私……」
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