契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
「それはそうですけど……」

「お前、男に振られたんだろう、それに両親に仕送りしてるんなら、余計だ、
俺と結婚すれば、お前は働かなくて済む、それで生活にゆとりが生まれるんだ」

なんかうまく丸め込まれているような気もしなくもない。

でも、確かに、社長の言う通りだろう。

私はきっとこのまま独身だ。

年老いていく両親を一人で支えるために必死に働かなくてはいけない。

なんかわかんないけど、辰巳グループ御曹司にプロポーズされた。

これは奇跡だ。

どんな過酷な現状が待っていようと、こんな好条件は二度とない。

「わかりました、社長のプロポーズお受けします」

「よし、会社に報告して、早速、ミクは退職してくれ」

ミクは驚きの表情を見せた。

「当たり前だろ、社長夫人が働いてるなんて、聞いたことがない」

私は会社を退職した。

「お互いの両親に挨拶に行くから、来週予定を空けといてくれ」

「わかりました」

「朝、見送りはいらない、それと帰りも勝手に食事を済ませて、休んで構わない、
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