契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
それなのに、省吾は頼られたい気持ちが大きい。

ワンワン泣いて、抱いてほしいとすがってきたミクを放っておけなかった。

実家に行くと、応接間に通された。

「俺、ミクと結婚したんだ」

「えっ、もう籍入れちゃったの?」

「ああ、問題ねえだろ」

「嫌だわ、取引先のお嬢さんと婚約の話があったのに勝手なことして」

「俺は会社を継ぐことを仕方なく承諾した、結婚は好きな女としたいんだ、
これ以上、口を挟むなよ」

「ミクさんとおっしゃったかしら」

「はい」

「おいくつ?」

「三十六になります」

ミクは躊躇したが、仕方なく答えた。

省吾の母親は驚いた表情を見せた。

「ちょっと、省吾、どう言うつもりなの、後継はどうするの」

省吾はムッとして立ち上がった。

「ミク、帰ろう」

「はい、あのう、不束者ですがよろしくお願いします、これ皆さんで召し上がってください」

ミクはとりあえず、母親に挨拶をして、手土産を渡した。

そして、省吾の後を追った。

「全くデリカシーねえんだから」

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