契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
たとえそれがいつわりの関係だとしても、嬉しかった。

ミクが省吾の頭を撫でていると、省吾は下からミクを見上げて、唇に触れた。

何度も何度もミクの唇を啄んだ。

ドキドキする、周りを欺き、愛のない、契約の関係なはずなのに……
ミクは徐々に省吾に惹かれていった。

「部屋に入ろうか」

「あ、はい」

また、省吾さんとキスしちゃった。

もう、ドキドキが止まらない。

だって、一夜を共にしてるって言っても、私は覚えていないんだもん。

「ミク、来週、ミクのご両親に挨拶に行くから予定しておいてくれ」

「あ、わかりました」

「手土産、何がいいかな」

「お気遣いなさらなくて大丈夫です」

「だめだよ、ミクだってちゃんと手土産用意してくれただろう、サンキューな」

「いえ」

「あ、しまった」

省吾が急に大きな声を出したので、ミクはびっくりしてしまった。

「どうしたんですか」

「これから指輪買いに行こう」

「えっ」

「結婚指輪」

指輪まで、なんかほんとうの夫婦みたい。

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