契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
ミクはますます、勘違いしそうになる。

そして指輪を買いに出かけた。

「ミクはどれがいい?」

どれがいいって聞かれて、これがいいですなんて言えない。

どれもこれも、値札は見たことない数字のオンパレードだ。

「あのう、やっぱり指輪はもったいないです」

「ミクは欲がないんだな」

「だって、両親への仕送りをして頂いて、働かないで生きていけるんですから、
これ以上望んだらバチが当たります、私達は契約の関係なんですから」

省吾はそうだったと気づいた。

俺はミクに一目惚れをして、プロポーズした。

ミクに対して、愛情は溢れるようにある。

でも、ミクにしてみれば、契約の関係なんだな。

両親の仕送り、そして生活面を保障してもらえる、そのかわり、

俺の妻を演じる約束だった。

指輪を選び、ミクの左手の薬指にはめる。

ミクは三十六歳の誕生日に、恋人に振られて、もう結婚指輪をはめることはないだろうと思っていた。

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