契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
第六章 残酷な現実
「ちゃんと、いたのね」

「えっ」

「なんか不自然だったから、もしかして偽りの結婚かと思って……」

ミクは戸惑いを隠せなかった。

「そんなに焦らなくても大丈夫よ、やっぱりね、変だと思ったのよ、
省吾がいきなり結婚だなんて、しかも辰巳の社員だったんですってね、
それにあなた、もう四十歳だなんて、どう考えてもおかしいわ」

ミクはどうしていいか分からず、自分の小刻みに震えていた手をギュッと握った。

その様子を感じ取ったのか、省吾の母親はいきなり本題を切り出した。

「偽りの結婚なら、さっさと離婚してくださる?」

「えっ」

「だってそうでしょ?後継者も生めない嫁は必要ないのよ、わかるでしょ」

ミクは何も言えなかった。

そして、目の前に離婚届を突きつけられた。

「さっ、ここにサインして、出て行ってちょうだい」

「省吾さんが仕事から戻ったら、ちゃんと挨拶して、それから……」

「何言ってるの、あなたは自分の意志で離婚届にサインして、ここを出て行くのよ、
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