契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
省吾に会ったら、色々問いただされて、私の企みとかなんとか思われたら、迷惑なのよ、
わかるでしょ」

ミクはわかっていた。

いつかこんな日が来るんじゃないかってことを……

「わかりました」

ミクは離婚届にサインをした。

涙が頬を伝わって、離婚届の用紙に涙のあとが出来た。

ミクは荷物をまとめて、省吾のマンションを後にした。

そんな母親の企みに気づくはずもなく、省吾はマンションへ向かっていた。

ミクが待っていると信じて疑いもせずに……

省吾はインターホンを鳴らした。

いつもミクがインターホンに応対してくれて、部屋に入って行く。

何回か鳴らしたが、応対がない。

あれ、出かけているのかな。

省吾は自分でオートロックを解錠して、部屋に入った。

部屋は真っ暗でし?んと静まり返っていた。

電気を点けて、まず省吾の目に飛び込んできたのは、リビングのテーブルの上に置いてある離婚届だった。

省吾は離婚届の用紙を鷲掴みにして、固まった。

どう言うことだ。

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