契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
きちんとミクに自分のことを話して、プロポーズする気持ちだった。

まさか、既に人の妻だったなんて信じられなかった。

それでも真人は諦められずにいた。

辰巳省吾、辰巳グループ社長の妻だなんて。

辰巳省吾とミクは付き合った期間もなく、しかも取引先の娘との縁談の話があったんじゃないか。

ミクは騙されて利用されたんじゃないのか。

ミクが心配になった真人は、省吾がマンションを後にしたのを見届けて、ミクの元を訪ねた。

インターホンが鳴って、ミクは応対した。

「真人、どうしたの?」

「ミク、大事な話があるんだ、部屋に入れてくれないか」

ミクは真人を部屋に迎え入れた。

「ミク、お前は辰巳省吾に利用されてるんじゃないのか」

「どうしたの、藪から棒に……」

「取引先の娘との縁談の話があったの知ってるのか」

ミクは由美子さんとはやっぱり、結婚の予定があったんだと確信した。

「お前は奴と交際期間ないだろう、それで結婚って何を考えているんだ」

「契約結婚なの」

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