契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
真人は驚きを隠せずにいた。

「なんだよ、契約結婚って」

「真人に振られて、バーで飲んでいた時、省吾さんと知り合ったの、
酔っ払って、一夜を共にして……」

「おい、お前……」

「朝、目が覚めたらホテルだったのよ、覚えていないんだもん」

真人は大きなため息をついた。

「全く、三十六にもなって、考えなしなんだから」

「ひどい、真人に振られて、すぐに先のことなんか考えられないよ」

ミクは泣き出した。

「ごめん、泣くなよ」

真人はミクを引き寄せ抱きしめた。

真人はミクの頬を伝わる涙にキスをした。

「ミク、俺と結婚してくれ」

「えっ」

「俺は実は海城ホテルチェーンの御曹司で、親父の跡を継ぐ立場なんだ」

ミクは驚きの表情を隠せなかった。

「バイトの身だなんて嘘言った、ごめん、それに、俺には婚約者がいた、だから
ミクとの別れを余儀なくされた」

「真人の言ってること、わからない、それなのに私にプロポーズってどう言うこと?」

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